大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

山形地方裁判所 昭和51年(わ)124号 判決

本籍

山形市本町一丁目一六三番地

住居

山形市あこや町三丁目七番一一号

職業

歯科医師

豊田良介

大正四年三月二二日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官永田俊明出席のうえ審理しつぎのとおり判決する。

主文

一、 被告人を懲役六月及び罰金五〇〇万円に処する。

二、 右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

三、 この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、山形市内に居住し、同市本町一丁目四番二六号に歯科医院を設けて歯科医療業を営んでいるものであるが、所得税を免れようと企て、主として、いわゆる自由診療収入の多くを秘匿したうえ、

第一、 昭和四八年分の総所得金額は二、九五七万一、二〇一円(実際課税所得金額二、八六五万五、〇〇〇円)であって、これに対する所得税額は一、三四八万二、〇〇〇円であるのに、昭和四九年三月一五日、山形市大手町一番二三号所在の山形税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が七七八万二、八九八円で、これに対する所得税額が一五〇万八、九〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により所得税一、一九七万三、一〇〇円を免れ、

第二、 昭和四九年分の総所得金額は四、〇一五万七、二七九円(実際課税所得額三、八九五万五、〇〇〇円)であって、これに対する所得税額は一、七九九万〇、四〇〇円であるのに、昭和五〇年三月一五日前記山形税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が一、三八〇万四、〇四六円で、これに対する所得税額が三四〇万〇、一〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により所得税一、四五九万〇、三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一、 被告人の当公判廷における供述

一、 被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、 被告人の検察官に対する供述調書

一、 被告人作成の昭和五〇年一月一四日付、同月一三日付、同月一二日付、同月一七日付、同月七日付、同月一二日付及び同月一六日付各上申書

一、 大蔵事務官作成の臨検てん末書三通

一、 大滝哲、豊田フサ、佐藤光蔵、吉崎前之助、鈴木栄夫、鈴木玲子、平田哲哉の大蔵事務官に対する各質問てん末書

判示第一の事実につき

一、 押収してある昭和四八年所得税確定申告書(昭和五一年押第四〇号の二五)

一、 被告人及び二位関喜久治作成の昭和五一年一月一二日付「昭和四八年分歯科診料収入について」と題する上申書

判示第二の事実につき

一、 押収してある昭和四九年分所得税確定申告書(昭和五一年押第四〇号の二六)

一、 被告人及び二位関喜久治作成の昭和五一年一月一二日付「昭和四九年分歯科診療収入について」と題する上申書

(法令の適用)

被告人の判示各所為は所得税法一三八条一項、一二〇条一項三号にそれぞれ該当するので、いずれもその所定の懲役刑と罰金刑とを併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の重いと認められる判示第二の罪に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条一項によりこれを右懲役刑と併科することとし、同条二項により判示各罪の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役六月及び罰金五〇〇万円に処し、右罰金を完納することができないときは、同法一八条により金二万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 森眞樹)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例